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「父と子の旅路 小杉健治」おすすめ小説を読もう

2019.04.24 17:04

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父と子の旅路 小杉健治


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父と子の旅路 小杉健治
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「君には難問だが逃げずに立ち向かうんだ」弁護士の浅利祐介の両親を惨殺した死刑囚の再審を担当するという酷いものだった。その死刑囚は唯一生き残った祐介の行く末をことのほか案じていたという。それが何を意味するのか。

わが子の幸福のために、無実の罪で死刑囚となった父親。
二十六年の獄中生活で、その思いはより深く、純粋になっていった。
はたして父は、「最後の日」までその愛を貫くことができるのか。
そして、子は父の愛にどう応えるのか。

書き出し
病室の前に立つと、笑い声が聞こえてきた。また母が中心になっているようだ。水商売で培われてきたサービス精神を病室でも発揮している。会話の邪魔をしないように、礼菜はその場にたたずみ、母の甲高い声を悲しみを抑えて聞いていた。
五十歳近い母だが、この六人部屋の中で一番若い。他の患者を明るく励ましている声からは余命半年ということは想像出来なかった。最年長の八十八歳の老婦人よりも残された生の時間は短いだろう。







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