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ウイルス

2019.03.06 19:04

「次のかた、どうぞ」
「ゴホン、ゴホン、あっ、すいません。先生よろしくお願いします」
「はい、どうしましたか」
「最近、体のふしぶしが急に痛くなったり、体がだるくなったりするんです。熱もドンドン高くなってきちゃって、全然下がらないんです。変な病じゃないかなと思って不安なんです」
「あー、そう。それでは、ちょっと診てみましょうか」
「はい、よろしくお願いします」
「ちょっと、熱があるか体触ってみますね」
「はい」
「だいぶ体が熱いね」
「そうなんです、日に日に熱くなってる気がするんです。大丈夫でしょうか」
「原因さえわかれば大丈夫、心配しなさんな」
「でも、不安です」
「それでは、このあたり、おさえてみますね、どうです。痛みますかね?」
「あー、そ、そこは、い、痛いです。そこが特に痛いです」
「やっぱり、このあたりね。それでは、今日は精密検査をして、原因を調べてから治療方法を考えましょうか」
「はい」



「原因はわかりましたか?」
「ウイルス性の病ですね」
「えっ、ウ、ウイルス?」
「そう、体がウイルスに侵されてますね」
「あー、最悪です。治るんですか?」
「最善を尽くします」
「お願いします。なんでウイルスなんかに侵されたんでしょう?」
「もともと、あなたはウイルスの住みやすい体質ですね」
「えーっ、あたしって、そんな体質なんですか」
「そうですね、ずっと昔から、あなたはウイルスに侵されています」
「昔からですか? 体調が悪くなったのは、最近なんですけど」
「これまではウイルスはおとなしかったのですが、ここにきて体のなかで暴れてるんですよ。それであなたの体を破壊してしまっています。急に痛みがあるのはウイルスが特に活発な時ですね」
「痛みがひどい時は、痛みのあるところを叩いたり、つねったりしてるんです」
「それは、あなたの体を傷つけますから、やめた方がいいですね。つらいかもしれませんが、我慢して下さい」
「先生、早く治療して下さい」
「わかってます。これから治療しますよ。それより、あなた、顔色も真っ青ですね」
「この青いのは、生まれつきなんです」
「そうですか、確かにきれいな青ですし、青が似合っていて美しいです」
「ありがとうございます」
「さっきも話したように、あなたの体はウイルスにとって住みやすい環境なんですが、今後、ウイルスの住めない環境にしてしまうのか、ウイルスはそのままにしてウイルスを暴れないようにするのか、どちらの治療にしましょうかね」
「ウイルスを住めない環境にして下さいよ。その方が安心です。体にウイルスがいると、またいつ暴れだすかわからないじゃないですか」
「確かにウイルスがいない方が安心なんですが、そうすると、あなたの美貌も失われる恐れがあるんですよ。せっかく美しいのにもったいないです」
「美しいなんて、照れちゃいます。フフフ。あたしが美しいからウイルスが住みついてるってことですか」
「簡単に言えばそういうことです。どうしますか? 美しさを維持する為にウイルスが住みつくのを我慢しながら、ウイルスが暴れないように治療するのか、ウイルスが住めない環境にして、美しさを失うのか」
「ウイルスを放置してたらどうなりますか」
「ウイルスの暴れ方次第ですが、ヘタすれば命にかかわりますね」
「ウイルスを放置するのはダメなんですね。暴れないようにしないと」
「そうですね。ウイルスと永く、良い関係を築いていくしかありません」
「ウイルスが住めない環境にすればどうなりますか」
「先程も言ったように、あなたの今の美しさは無くなります。そのかわり、ウイルスもいなくなります」
「美しくなくなるのは嫌ですけど、どんな風になっちゃうんでしょう」
「そうですね、ウイルスのいない周りを見ればわかると思いますが、火星や木星のような外見だと思ってもらえればよいかと思います」


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